EC在庫管理をExcelで行うときの基本設計
商品数がまだ多くなく、担当者が表を確認しながら更新するなら、Excelでも在庫管理を始められます。ただし、一つのセルへ現在庫を直接入力し続けるだけでは、いつ、なぜ数字が変わったか分からなくなります。
重要なのは、商品情報と入出庫履歴を分け、現在庫を計算できる形にすることです。
最低限用意する3つの表
1.商品マスタ
商品を特定する基本情報を一商品一行で管理します。
| 列 | 役割 |
|---|---|
| 社内SKU | 商品を一意に特定する。再利用しない |
| 商品名 | 人が確認するための名称 |
| 仕入先コード | 発注やデータ照合に使用 |
| 保管場所 | 棚番号や倉庫名 |
| 安全在庫 | 販売や発注判断の基準 |
| 販売状態 | 販売中・停止・廃番など |
2.入出庫履歴
在庫が動くたびに一行追加します。過去の行を上書きしないことが基本です。
| 列 | 入力例 |
|---|---|
| 処理日時 | 2026/09/13 10:30 |
| 社内SKU | ABC-001 |
| 区分 | 入庫・出庫・返品・調整 |
| 数量 | 入庫は正数、出庫は負数 |
| 伝票番号 | 注文番号・仕入番号 |
| 担当者・理由 | 棚卸調整など |
3.在庫一覧
商品マスタと入出庫履歴から、SKUごとの現在庫を集計します。手入力欄と計算欄は色や保護設定で区別します。
現在庫と販売可能数を分ける
倉庫にある数量が、そのまま販売できる数量とは限りません。受注済みで未出荷の商品や、不良・検品中の商品を考慮します。
販売可能数 = 現在庫 − 引当数 − 保留数 − 安全在庫
マイナスになった場合はゼロで出力し、原因確認の対象にします。
マイナスになった場合はゼロで出力し、原因確認の対象にします。
更新ルールを先に決める
- SKUを空欄にしない
- 在庫の変更は履歴へ一行追加する
- 数式セルへ直接入力しない
- 返品・破損・棚卸調整の区分を分ける
- 更新担当者と時刻を残す
- 毎日または毎週、実在庫との差を確認する
よくある失敗
商品名で集計する:表記変更や似た商品で誤集計します。SKUを使います。
複数人が別ファイルを持つ:どれが最新か分からなくなります。保存場所と正本を一つに決めます。
現在庫を直接修正する:差異の原因が追えません。調整履歴として残します。
モール在庫と同じだと思う:更新時刻や注文の取り込み差でずれます。同期前後の件数と時刻を記録します。
Excelから切り替える目安
商品数や履歴が増えて動作が重い、複数人の同時更新が増えた、複数倉庫や複数モールの引当が複雑になった場合は、Accessや在庫管理システムを検討します。道具の比較はExcel・Access・Pythonの使い分けで解説しています。
具体的な移行時期は、ExcelからAccessへ移す5つの判断基準にまとめました。